フルート アンド ギター デュオ
第35回 定期演奏会

Flute and Guitar Duo:平田公弘(F)、石村洋(G)









2009年1月25日(日)14:00開演
入間市 アトリエ・アミーゴ・スタジオ棟

主催・問合せ:フルートとギターの会
石村(04-2959-4112)平田(04-2959-7583)



ご あ い さ つ

 本日は、第35回定期演奏会においでいただきありがとうございました。フルート・アンド・ギター・デュオは、狭山市名曲鑑賞会の会員として平成元年ごろから活動しています。その後、所沢の航空公園近くの喫茶店「ポンデザールのアーチストたち」のご好意で毎年2回ずつ定期演奏会を行ってきました。あまりに自分達本位のプログラムに、ご注意をいただくこともありましたが、私達が、一生のうちに弾きたい曲はすべて演奏しておきたいという音楽家の本能に従ってしまうことをも自由にさせていただきました。お店のマスターが引退されたので、4年前からは狭山市の市民会館で定期演奏会を年に1回のペースで行って参りましたが、今年は市民会館が改装工事中のため、入間市アミーゴで開催となりました。
 手狭な会場で申し訳ありませんが、最後までゆっくりお聴きいただきますようお願い申し上げます。初めての場所での演奏会なので、皆様にご招待の形でおいでいただいておりますが、来年からは再び狭山市で行います。どうかこれからもよろしくお願い致します。
                              平田公弘 石村洋


             プ ロ グ ラ ム
1.ソナタ ロ短調 BWV1030 J.S.バッハ(石村洋 編曲)
   Tアンダンテ Uラールゴ エ ドルチェ V プレスト〜アレグロ

2.セレナーデ           F.シューベルト(ベーム〜佐々木編)

3.萎める花による変奏曲 ホ短調  F.シューベルト(石村洋 編曲

<  休   憩  >

4.いとしのエリー         桑田佳佑(石村洋 編曲

5.イパネマの娘          A.C.ジョビン(石村洋 編曲

6.リベル・タンゴ         A.ピアソラ(平倉信行 編曲

7.ハンガリー田園幻想曲      F.ドップラー(石村洋 編曲

 
 

プログラム解説                     石村 洋

1.
ソナタ ロ短調 BWV1030 J.S.バッハ
   バッハの伴奏付きフルート作品は6曲と言われ、バッハ作品番号(BWV)1030番から1035番に整理さ   れています。その中で、このロ短調は、最も大規模で、バッハの作曲技法の頂点を極めた作品の一つで    す。当然、音楽の情報量も膨大で複雑ですが、上手く演奏できればそんなことを微塵も感じさせることの無   い美しい作品です。全3楽章になりますが、第3楽章は2つの部分に分かれているので、全体が4楽章あ    るように感じられます。

   バッハのフルート作品は、フルート・アンド・ギター・デュオの初期の段階からしばしば取り上げてきました    が、来年編曲して発表したいと思っている イ長調BWV1032番をいれると全作品を演奏することになり   ます。それが終わったら二晩くらいの連続演奏会(チクルス)で、これに無伴奏ソナタ(BWV1013)を加え   て全作品演奏することを平田氏に説得中です。それを同意下さることを切に願っています。

2.セレナーデ           F.シューベルト(ベーム〜佐々木編)
   シューベルトの遺作となった歌曲集「白鳥の歌」は前半の7曲がレルシュターブの詩により、後半の7曲が   ハイネの詩によります。これはレルシュターブの詩による歌曲です。シューベルトが作曲した詩人はゲーテ   やハイネ、シラーという大詩人の作品も少なくありませんが、「美しき水車小屋の娘」と「冬の旅」の詩人の   ミュラーなどシューベルトの人生そのものを映し出すような詩人の作品も少なくありません。レルシュターブ   もそんな詩人の一人です。このセレナーデもシューベルトその人らしくナイチンゲールの鳴き声に寄せて憧   れの人を孤独に思い悩む青年の歌です。
     ところで、フランツ・リストはシューベルトのいくつかの歌曲をピアノ独奏用に編曲していますが、この編   曲は、現代のフルートの楽器の構造の原型を開発したテオバルト・ベームが、リスト版をもとにフルート用   にアレンジし、そのピアノ伴奏部分をドイツのケルン音楽大学の教授の佐々木忠がギター用に編曲し直し   たも のです。

3.萎める花による変奏曲 ホ短調  F.シューベルト
     元歌は「萎める花」は「美しき水車小屋の娘」の中の歌です。好きな娘が自分にくれた花が枯れてしま     ってもそれを大事に持っている青年の悲哀に閉ざされた前半の旋律と、その花が自分の墓の上に再      び花を咲かせるかもしれないことへの希望を歌う後半部分がコントラストを成しています。シューベルト     が自作の歌曲をもとに作曲したフルートのための変奏曲です。
     シューベルトは、歌曲王と言われていますが、日本の山田耕筰も日本の歌曲王です。二人とも歌曲だ     けでなく器楽曲にも卓越した能力のある作曲家ですが、その二人が自作の歌曲の旋律を主題にしたフ     ルートのための変奏曲が一曲ずつあります。山田耕筰の方は「この道を主題とする変奏曲」でシューベ     ルトの方が「萎める花による変奏曲」です。そこで私と同様、歌曲が大好きな平田氏は長年、両曲の編     曲を私に依頼していました。「この道」の変奏曲も大変、大袈裟な感じのする曲ではありますが、かなり     早い時期にギター譜を作りレパートリーとしてしばしば取り上げてきました。「萎める花による変奏曲」      の方は1998年の私のリサイタルで平田さんをゲストにお招きして演奏しました。
     フルーティストのみならずピアニストにとっても難曲として、しり込みされるような曲ですが、私は怖がり      ません。練習はたくさんしていますが、どう転んでもギタリストには絶対弾けるはずもない曲を弾くのは      案外気楽なものです。

4.いとしのエリー               桑田佳佑
5.イパネマの娘                A.C.ジョビン
6.リベル・タンゴ               A.ピアソラ

      それぞれよく聴く音楽なので説明は省略します。すこし派手目なアレンジにしてみました。

7.ハンガリー田園幻想曲            F.ドップラー
 フランツ・ドップラーはこの曲名からも推察されるようにハンガリー人で、当代一流のフルート奏者でした。同郷のフランツ・リストのハンガリー狂詩曲のオーケストラ版の編曲でも有名です。弟のカール・ドップラーも有名なフルーティストで、兄弟のフルート・デュオのための作品も数多く作曲しています。平田さんはドップラー没後100年記念コンクールというので、そんな二重奏を吹いて入賞しているはずです。この曲に関しては、きっと平田さんから色々お話があることと思います。

ある人がオーストリアのザルツブルグに行って、ガイドさんからザルツブルグの有名人はモーツァルト、指揮者のカール・ベーム、ヘルベルト・フォン・カラヤンとドップラーだと紹介されました。そうしたらツアー客の一人が「ハンガリー田園幻想曲」と叫んだそうです。この人物のラインナップを聞けばば誰だってそう思うのは当然ですが、このドップラーさんではなくで、ザルツブルグ生まれのドップラーは音のドップラー現象を発見した物理学者の方だそうです。因みに光のドップラー現象というのもあって、それはアインスタインの相対性理論から導かれる帰結で、宇宙のビッグバン理論に関係のあることですね。余計なことを言ってかえって混乱させてしまいました。

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石村洋のギターとひとときPartY

 日曜の午後のひとときギターの音色でゆっくり寛いでいただきながらギターの世界を色々な側面から紹介していくコンサートです

7月25日(日)  狭山市民会館小ホール  ¥1999円 ゲスト:平田公弘


石村洋ギターリサイタル 〜気軽にクラシックをどうぞ〜

 10月17日(土) 所沢ミューズ・キューブホール ¥3000

プログラム 無伴奏ヴァイオリンパルティ−タ第2番(バッハ)
       ソナタ イ長調 トルコ行進曲付き(モーツァルト)
       南のソナチネ(ポンセ)
       ソナタ イ長調(シューベルト)      ほか